はじめに
今年もいよいよ、令和7年分の確定申告シーズンがやってきました。毎年この時期になると、次のような声が一気に増えてきます。
- ・自分は確定申告が必要なのか
- ・副業の収入は申告しなければならないのか
- ・不動産収入はどの所得に分類されるのか
確定申告でまず押さえるべきポイントは、「収入を正しい所得に分けること」です!ここを間違えると、税額計算や申告方法そのものが変わってしまいます。
本記事では、確定申告の基礎となる所得と収入の違いから、10種類の所得の内訳、それぞれの計算方法について詳しく解説します。
確定申告の所得10種類一覧|収入との違いや計算方法も解説
確定申告を行う上で、自身の収入がどの所得に分類されるかを正しく理解することは非常に重要です。所得税法では、所得を10種類に区分しており、それぞれ計算方法や課税方式が異なります。
確定申告の対象となる10種類の所得
所得税法では、所得はその性質によって10種類に分類されています。
具体的には、給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得、譲渡所得、一時所得、利子所得、配当所得、退職所得、山林所得が該当します。
確定申告では、自身の収入がこの内訳のどれに当たるのかを正しく判断し、それぞれの区分に応じた方法で所得金額を計算しなければなりません。
以下で、それぞれの所得について詳しく解説します。
※各所得種別をクリックで詳細表示
給与所得:会社員やアルバイトなどが受け取る給料や賞与
給与所得とは、会社員やアルバイト、パートタイマーなどが勤務先から受け取る給料、賃金、賞与(ボーナス)などを指します。
一般的にサラリーマンの収入がこれに該当し、多くの場合は会社が年末調整を行うため個人での確定申告は不要です。
所得金額の計算は、収入金額から直接経費を差し引くのではなく、収入に応じて定められた「給与所得控除額」を差し引いて算出します。
この給与所得控除は、仕事で使うスーツや書籍代など、給与所得者の必要経費に代わるものとして位置づけられています。
事業所得:フリーランスや個人事業主が事業で得る収入
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業を営んでいる個人の、その事業から生じる所得のことです。
フリーランスのエンジニアやデザイナー、個人で店舗を経営している人などが得る収入がこれに該当します。
事業所得の条件は、対価を得て継続的、反復的、かつ独立して行われる活動であることです。
所得金額は、総収入金額から売上原価や販売費、管理費などの必要経費を差し引いて計算します。
青色申告を選択すると、最大65万円の特別控除が受けられるなどの特典があります。
不動産所得:アパートや駐車場などの貸し付けによる収入
不動産所得は、土地や建物といった不動産の貸し付けによって得られる所得を指します。
具体的には、アパートやマンションの家賃収入、土地や駐車場の賃貸料、船舶や航空機の貸付による収入などが含まれます。
所得の計算方法は、これらの貸し付けによる総収入金額から、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費といった必要経費を差し引いて算出します。
事業的規模で行われているかどうかによって、青色申告特別控除額が変わるなどの違いが生じます。
雑所得:公的年金や副業の収入など他の9種類に分類されない所得
雑所得とは、利子所得から山林所得までの他の9種類の所得のいずれにも分類されないその他の所得をまとめた区分です。
代表的なものには、国民年金や厚生年金などの公的年金等、個人が執筆した原稿料や講演料、アフィリエイト収入といった副業による所得が含まれます。近年では、仮想通貨(暗号資産)の売買によって得た利益も雑所得に分類されることが一般的です。
計算方法は、公的年金等とそれ以外の業務に係るものとで異なり、9種類の所得に当てはまらない収入の受け皿としての役割を持っています。
譲渡所得:土地・株式・ゴルフ会員権などを売却して得た利益
譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権、美術品などの資産を売却(譲渡)した際に生じる所得のことです。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林の譲渡による所得は、譲渡所得には含まれません。
所得の計算は、資産を売った金額(収入金額)から、その資産の取得費と譲渡費用を差し引いて算出します。
特に、土地や建物の譲渡については、所有期間が5年を超えるかどうかで「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に区分され、適用される税率が大きく異なる点が特徴です。
一時所得:生命保険の一時金や懸賞金など臨時的な収入
一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外のもので、労務の対価や資産の譲渡の対価でもない、一時的な性質を持つ所得を指します。
具体例としては、生命保険会社から受け取る満期保険金や一時金、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金(営利目的でない場合)、法人から贈与された金品などが該当します。
計算上、最高50万円の特別控除額が設けられており、総収入金額から収入を得るために支出した金額を引いた後、さらに特別控除額を差し引いて所得金額を算出します。
利子所得:預貯金や公社債などから発生する利子
利子所得とは、預貯金や公社債の利子、および合同運用信託、公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得です。
銀行の普通預金や定期預金に預けていると発生する利息などがこれに該当します。
利子所得の多くは、支払いを受ける際に所得税などが源泉徴収される「源泉分離課税」の対象となっています。
このため、税金は天引きされた形で振り込まれ、納税が完了するため、原則として確定申告をする必要はありません。
ただし、海外の銀行預金の利子など一部のものは確定申告が必要です。
配当所得:株式の配当や投資信託の分配金による所得
配当所得とは、株式会社の株主として受け取る利益の配当や、投資信託(公社債投資信託等を除く)の収益の分配などによって得られる所得のことです。
多くの上場株式の配当等は、支払いを受ける際に所得税等が源泉徴収されるため、確定申告が不要な場合があります。
しかし、確定申告をすることで、配当控除の適用を受けたり、株式の譲渡損失と損益通算したりできる場合があります。
申告する際は、所得税率が累進課税となる「総合課税」か、一律の税率が適用される「申告分離課税」かを選択することが可能です。。
退職所得:勤務先から受け取る退職手当や一時金
退職所得とは、退職手当や一時金など、退職したことに伴って勤務先から一時的に支払われる給与を指します。
これは、長年の勤労に対する報償的な意味合いが強いことから、税負担が軽くなるように配慮されています。
具体的には、他の所得とは合算せずに個別に税額を計算する「分離課税」方式が採用され、勤続年数に応じた「退職所得控除」という大きな控除が適用されます。
通常、退職金の支払い時に会社側で税額計算と源泉徴収が行われるため、原則として個人で確定申告をする必要はありません。
山林所得:所有する山林の伐採や譲渡による所得
山林所得とは、所有期間が5年を超える山林を伐採して売却したり、立木のまま譲渡したりすることによって生じる所得のことです。
山林の造成・育成には長い年月がかかるため、税負担が調整される仕組みになっています。
山林所得も退職所得と同様に、他の所得とは合算せずに税額を計算する「分離課税」方式が採用されています。
なお、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得または雑所得として扱われるため注意が必要です。
また、山を土地ごと譲渡する場合、土地の部分は譲渡所得となります。
所得金額の計算方法|収入から必要経費を差し引くのが基本
所得税の計算の基礎となる所得金額は、原則として収入から必要経費を差し引くことで算出します。
この経費を正確に計上することが、適切な納税額を導き出す上で重要です。
ただし、10種類ある所得の中には、給与所得のように収入に応じて控除額が定められているものや、一時所得のように特別控除が適用されるものなど、計算方法が異なるケースもあります。
したがって、自身の収入がどの所得に該当するかを確認した上で、その区分に応じた計算方法を適用する必要があります。
所得の種類ごとの基本的な計算式
所得金額は、所得の種類ごとに計算式が定められています。
事業所得、不動産所得、雑所得(業務に係るもの)は「総収入金額−必要経費」が基本です。
一方、給与所得は「収入金額−給与所得控除額」で計算し、給与所得者には個別の経費計上が認められていません。
また、一時所得の計算式は「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)」となり、その2分の1が課税対象です。
このように、収入から単純に経費を引くだけでなく、所得区分に応じた控除額や特別な計算ルールが適用される場合があります。
所得によって認められる必要経費の範囲
必要経費として認められるのは、収入を得るために直接要した費用や販売費・一般管理費など業務の遂行上必要となった費用です。
事業所得や不動産所得などでは、売上原価や仕入代金、事務所の家賃、水道光熱費、従業員の給与、広告宣伝費、接待交際費などが該当します。
プライベートの支出と事業の支出が混在する家事関連費(自宅兼事務所の家賃など)は、事業で使用する割合を合理的に計算して按分することで、その部分を経費として計上できます。
経費の範囲を正しく理解し、領収書などの証拠書類を保管しておくことが不可欠です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
所得税では、収入を10種類の所得に分けて考えるだけでなく、それぞれの所得ごとに計算方法や特例、適用できる制度が細かく定められています!
一見、同じに見える収入であっても、所得の種類や制度の使い方によって、税額や申告内容が変わる点が確定申告の大きな特徴です!
ご自身で進める中で判断に迷う場面も多いため、不安がある場合は専門家に相談することをオススメします!
DIG税理士法人では、確定申告に関するご相談を承っております。少しでもご不明な点がある方は、お気軽にお問い合わせください!
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