
目次
はじめに
身近な人が亡くなった時、深い悲しみとともに直面するのが相続税です。
「なにから手を付ければいいか分からない」
「自分が相続税を納めることになるなんて知らなかった」
そのような言葉をよく耳にします。
相続税の申告や納付には期限があり、期限を過ぎてしまったり、申告内容に漏れがあったりすると思わぬペナルティが課されることがあります。
そこで本コラムでは、申告しなかった場合や申告漏れがあった場合に、どのようなペナルティがあるのかを分かりやすく解説します。
無申告・申告漏れ・過少申告が起こる原因
無申告・申告漏れ・過少申告が起こる原因は様々です。
- 後から財産が見つかった場合
名義預金(被相続人が相続人の名義で預けていたお金)・贈与・有価証券などが後から判明するケースは珍しくありません。 - 計算の誤り
控除の適用や財産の評価額の計算を誤った結果、本来納めるべき税額より少ない税額で申告してしまうことがあります。 - 意図的な隠蔽や仮装
財産を意図的に隠したり、実際にはない財産を装ったりするような悪質な場合は、通常よりも重いペナルティが課されます。
また、相続した財産の総額が相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税申告は不要です。
しかし配偶者控除などの特例を使う場合は、特例を使った結果、税額が0円になっても申告が必要です。
無申告・申告漏れ・過少申告が起こる原因
国税庁の発表によると、無申告事案に対する調査が一段と強化されています。
令和5年度の無申告事案の実地調査件数は690件で、追徴税額は123億円、前年比111.4%となり、1件あたりの追徴税額も平均1,787万円に達しました。
これは、過去5年で最高の水準です。
一方で、申告は行っていても後から一部財産の申告漏れが判明する事案も多く見られます。
令和5年度における申告漏れ相続財産は総額2,727億円で、構成比は以下の通りです。
- 現金/預貯金等:30.3%
- 土地:12.2%
- 有価証券:10.7%
参考資料:国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況
預貯金は、金融機関の取引記録で簡単に把握できます。
税務署が最初にチェックする項目でもあるため申告漏れとして指摘されやすい分、情報を整理してご家族と共有し、必要に応じて税理士など専門家に事前に確認してもらうことが重要です。
無申告や申告漏れがあった場合のペナルティ
申告の遅れや不備、納付が遅れると状況に応じて以下の加算税が課されます。
無申告加算税
申告期限までに申告しなかった場合のペナルティで、税率は以下の通りです。
- 期限内申告税額が50万円以下の部分は、原則15%
- 期限内申告税額が50万円超から300万円以下の部分は、原則20%
- 期限内申告税額が300万円を超える部分は、原則30%
参考資料:財務省 加算税制度の概要①(基本情報)
過少申告加算税
期限内に申告したが、本来納税しなければいけない額よりも実際に納めた税額が少なかったときのペナルティで、税率は以下の通りです。
- 期限内申告税額が50万円以下の部分は、原則10%
- 期限内申告税額が50万円を超える部分は、原則15%
参考資料:財務省 加算税制度の概要①(基本情報)
なお無申告加算税や過少申告加算税は、下記の場合には原則税率よりも低い割合で済んだり、加算税が課されずに済みます。
- 税務調査の通知を受ける前に、自主的に期限後申告や修正申告をした場合
- 通知を受けてから調査を受けるまでに期限後申告や修正申告をした場合
申告漏れに気づいた場合や、期限後の申告となってしまう場合でも、速やかに正しい内容で申告した方が良いでしょう。
この他、財産を意図的に隠したり、実際にはない財産を装ったりするような悪質な場合は、無申告や申告漏れの場合よりも重いペナルティが課されます。
意図的な隠蔽や仮装があった場合のペナルティ
重加算税
意図的に財産を隠したり等悪質な場合に課される税金で、税率は以下の通りです。
- 期限内に申告していた場合は、35%
- 無申告で期限後の申告の場合は、40%
また、過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合は、通常の重加算税に追加してさらに10%加算されます。
参考資料:財務省 加算税制度の概要①(基本情報)
延滞税について
加算税に加え、相続税を期限までに納めなかった場合は、原則法定の納付期限の翌日から納付日までの期間に対して、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
- 期限までに納税が遅れた場合
- 期限後申告や修正申告をした場合
- 更正または決定の処分を受けた場合
延滞税は、法定納期限の翌日からの経過期間を「2か月以内」と「2か月を超える期間」に分かれ、それぞれ異なる利率を適用して計算されます。
- 法定納期限の翌日から「2ヶ月以内」の部分に対しては7.3%
- 法定納期限の翌日から「2ヶ月を超えた」部分に対しては14.6%
しかし近年は低金利の状況を踏まえ、上記の利率より低い延滞税特例基準割合が設けられています。
参照資料:国税庁 No.9205 延滞税について
おわりに
相続税のペナルティは、本来納めるべき税金に加えて上乗せされるため、経済的にも精神的にも大きな負担となります。
そのため、期限内に正しく申告することが何より大切です。
相続が発生した際は、相続に強い税理士に相談することをおすすめします。
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