2025.12.15

弔慰金は相続税の対象になる?非課税と課税の違いを徹底解説

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

「弔慰金って相続税の対象になるの?」

「そもそも課税されるのか非課税なのかが分からない」

大切な人を亡くした後の手続きはわかりにくいことが多く、弔慰金の扱いもそのひとつではないでしょうか。

弔慰金は、被相続人の死亡に際して遺族へ支給されるお金で、一般的には相続税の対象外とされています。

ただし、すべての弔慰金が自動的に非課税になるわけではありません。

一定の基準を満たす場合には課税対象となることもあるため、仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、弔慰金が非課税になるケースと課税対象となるケースの違いを整理し、わかりやすく解説します。


弔慰金は原則非課

弔慰金は、亡くなった方が勤めていた企業や団体が遺族に寄り添う形で支払うものであり、死者に対する弔意・遺族への慰謝の趣旨として支給されるものであるため原則非課税とされています。

しかし、すべての弔慰金が無条件に非課税になるというわけではありません。

支給額が一定の基準を超える場合、その超過分が課税対象となる可能性があります。


課税対象となる場合

弔慰金が課税対象になるかどうかを判断するポイントは、支給額が非課税限度額を超えているかどうかにあります。

もし非課税限度額の上限を超えて支給された場合、超過部分は「死亡退職金(退職手当金等)」とみなされ、相続税の課税対象に含まれます

つまり、弔慰金そのものが課税されるわけではなく、あくまで上限額を超えた「基準超過分」のみが課税対象となる仕組みです。

「いくらまでなら非課税か」を把握することが、課税の有無を判断するポイントとなります。


弔慰金の非課税・課税を判断する基準

弔慰金の非課税限度額は、亡くなった方が業務上の死亡か、業務外の死亡かによって変わります。

  • 業務上の死亡の場合
    非課税となるのは、亡くなった方の普通給与(賞与を除く)3年分までです。
    「業務に関連した事故・災害など、業務に起因していると認められる死亡」の場合に適用されます。
    ※勤務中だけでなく、通勤途中や業務と密接に関連して起きた死亡も含まれる場合があります。
  • 業務外の死亡の場合
    非課税となるのは、普通給与(賞与を除く)の半年分までです。
    病気や自宅での急な事故など、業務に直接関係ない事情で亡くなった場合に適用されます。

これらの上限を超えた部分は、前述の通り「死亡退職金(退職手当金等)」として扱われ相続税の課税対象になります。

ただし、課税対象になる部分がそのまま全額課税されるわけではありません。

死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」という別途非課税枠が用意されています。

たとえば、法定相続人が3人いる場合は「500万円 × 3人 = 1500万円」が非課税となります。

そのため、弔慰金が一部課税対象になったとしても、実際にはこの枠内に収まり相続税がかからないケースも少なくありません。


弔慰金とよく混同される制度との違い

弔慰金と混同されやすいものに「死亡退職金」があります。

名前は似ていますが、目的や性質が大きく異なります。

弔慰金は遺族への見舞いや弔意・慰謝を目的として支給されるものであるため、原則非課税ですが、死亡退職金は退職手当金の一種であり、本来は課税対象です (国税庁No.4117より)。

  • 弔慰金
    ・遺族への見舞いや弔意・慰謝が目的
    ・原則非課税
  •  死亡退職金(退職手当金の一種)
    ・勤続の功労に対する報酬や退職に伴う給付
    ・原則課税対象(ただし非課税枠の適用あり)

支給元から届く書類に支給内容が記載されているため、確認しておくと安心です。


おわり

いかがでしたか?この記事では弔慰金の課税・非課税の違いをご紹介しました。

弔慰金は企業などが遺族へお悔やみとして支払う金銭で、原則として非課税です。

しかし、支給額や死亡の状況によっては一部が課税対象となることもあり、制度を正しく理解しておくことが安心につながります。

「弔慰金だから全額非課税だろう」と思い込んでしまうと申告漏れにつながり、後々のトラブルに発展しかねません。

もし不安があれば早めに相続に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。


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